| あの旅から 八章 イミル村 |
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「あ〜・・・やっぱり寒いところは寒いなぁ・・・」 ガルシアがそんなことをぼやく。 ここは、イミル村に行くために通らなければいけない洞窟をちょうど抜けたところだった。 「・・・そういえばロビン、ソロの調子はどうですか?」 メアリィが問う。 「あぁ・・・今は寝てるみたいだよ。」 あの一件の後、ソロは未だに本当のことを言わなかった。しかし、そのうち分かるだろうと思っていたロビンは、それ以上の追求はしなかった。 「・・・・・・」 アレクスが、なぜか神妙な顔をする。 「アレクス・・・どうしたんですか?そんな顔して・・・?」 アレクスが、驚いたように振り向いた。 「えっ…なんでもないですよ…」 一行がイミル村に着いた頃には、夕日が差していて、外の景色がとても綺麗だった。 イミル村の外には、誰もいなかった。夜が近いからだろう。 「とりあえず僕達の家に行こうか。」 『僕達』とは、当然ロビンとメアリィである。夫婦となれば、マイホームを持っていても不思議ではない。 その家は、小さな村にしては、大きな家といえよう。村の小高い丘に建っている家がそうだった。 「・・・結構大きいな・・・」 ガルシアが率直な感想を言う。 「村長さんが、『ロビン殿とメアリィが結婚してイミルにいてくれるのなら、ささやかながら村全員からの贈り物をしよう。』ってことで、頂いたのがあの家ってことなんだ。」 「ささやかって・・・結構すごいような・・・」 「僕らもいったよ?こんな大きな家、頂いてもいいんですか?と。そしたら村長さんが、『何、二人の結婚祝いと、メアリィへの感謝の気持ちだよ。それにわしらが出来ることは、これ位じゃ。』と。そしたらメアリィったらボロボロ泣いちゃって・・・」 「んもぅ!ロビンたら!」 メアリィの頬が紅潮する。 「ごめんごめん・・・それでありがたく頂いたんだ。」 「・・・それより・・・寒い・・・」 「そうだね。それじゃあ入ろうか。」 ロビンが玄関のドアを開ける。 「お〜・・・綺麗だな・・・」 「うん、結構住み心地がいいんだ。それに・・・メアリィもいるしね。」 「もう・・・ロビンったら・・・」 (・・・この二人・・・結構バカップルか・・・?) 「んっ?なんか言った?」 「い・・・いや?」 ガルシアは一瞬ドキッとしてしまう。相変わらずロビンの勘は鋭い。 「あれ?そういえばアレクスはどうしたんでしょう?」 ピカードに言われて、初めて気づく。 「あぁ・・・そういえばどこにいるんだろう・・・?」 「・・・さぁ・・・?何で気づかなかったんだろ・・・」 (ロビンの場合はメアリィに夢中だったからだろ・・・) 「またなんか言った?」 ロビンはリードを使えるんじゃないか?と思うガルシア。明らかに勘の領域を超えている。 「い・・・いや・・・そ、それよりどこにいるんだろうな?メアリィ、知らないか?」 「・・・・・・」 「メアリィ?」 「えっ?あぁ…さ、さぁ…」 「そうか…捜しに行くか?」 「そうだな…何か起きたら大変だしな…」 「それじゃあ二手に分かれるか…僕とメアリィ、ガルシアとピカードで組んで捜そう。村にいなかったときは、村の入り口に集合。」 「了解。」 「………」 「どうしたのメアリィ、行くよ?」 「…えぇ…」 (…アレクスは…気にしているんだわ…あのことを…) 「アレクス・・・どこにいるんだろうね?」 「………」 「メアリィ、大丈夫?さっきから黙って…?もしかして…体調悪い?」 「い、いえ!大丈夫ですわ。」 「そぉ?ならいいけど…無理しないでね?」 「えぇ、大丈夫だからね…早くアレクスを探しましょう。」 「そうだね。大丈夫だとは思うけど…」 「そうですわね。」 しかし、メアリィは未だに何かを考えているようだった。 「本当に…大丈夫?」 「…えぇ、ちょっと心当たりがあるので捜してきてもいいですか?」 「だったら僕も一緒に…」 「いえ、一人で行って来てもいいでしょうか?村の中なので大丈夫ですわ。」 「ふ〜ん…だったら行ってきなよ。僕達は家に戻ってるから見つかったら戻ってきてね?」 「分かりましたわ。」 そういってメアリィは駆け出す。 「う〜ん…大丈夫かな…?メアリィをつけてみるか…」 ロビンは、メアリィの行った方向に向かって走り出した。 アレクスは、村からわずかに離れた大樹の下で座っていた。 「やっぱりここでしたのね。」 「…メアリィか…やっぱり分かったのか…」 「えぇ…ここしか思いつかなかったからですわ。」 「そうだろうね------」 それはメアリィが当時八歳の時だった。 『うわぁ…この樹…大きいわぁ…』 メアリィは、今は亡き両親に、大樹のある場所に連れられた。 『メアリィ、ちょっとここで待っててもらえるかな?』 『うん、分かったよお父さん!』 メアリィの両親は、村の外にある森へ向かっていった。 『わ〜…あれ?誰かいる…?』 その大樹の下に座って、本のようなものを読んでいた。 その読書をしている人物は、自分よりも二・三歳ほど年上の、青毛の男の子であった。彼は、自分と同じくらいの歳の割りには、落ち着きのある雰囲気を出している。 メアリィは、その男の子のところへ向かう。 『ねぇ、ねぇ、なに読んでるの?』 『…君には関係ないよ。』 『そんなこといわないで教えてよ…?』 『……』 男の子は、渋々その本の表紙を見せたが、メアリィには理解できなかった。 『ねぇ、あなたの名前は?』 『…アレクス』 『アレクスかぁ…私はメアリィ!よろしくね。』 アレクスと名乗った男の子に、すっと手を差し出す。アレクスはメアリィの行動に、とりあえず応じる。メアリィの顔にはまんべんの笑みで、アレクスの顔を見る。 『ねぇ、いつもここにいるの?』 『…何でもいいじゃないか。』 『いつも一人なの?』 『…そうだけど?』 アレクスは、他人と関わりを持ちたくなかった。そのために、いつも大樹の下で本を読んでいた。 『だったら私がいつも一緒にいてあげるよ!』 『…いいよ。』 『そんなこといわないでさぁ!』 そういって、メアリィはアレクスの本を奪い、逃走する。 『…こら!』 アレクスは、大樹の周りを走っているメアリィを追いかける。メアリィはそれが面白いのか、笑いながら逃げる。 アレクスは真面目に追いかけているが、意外にもメアリィの足が速く、なかなか追いつけない。 結局アレクスは、メアリィに追いつけず、立ち止まって、本を返すようにメアリィに求める。 『はぁ…はぁ…本…返してくれないか・・・?』 『や〜だよ!・・・でも・・・私の言うこと約束してくれたら返してあげるよ?』 『…なに?』 『それはねぇ・・・私とここでいつも遊んでくれること!』 それが、アレクスとメアリィの出会いだった。 「ここで会うのも懐かしいですわねぇ・・・」 「そうだね・・・」 メアリィ達は、昔を懐かしむように目を細める。 「そういえば、あの日までずっと約束を守ってらしたわね・・・なぜですか?」 「僕は約束は必ず守るタイプなんでね。」 「そうしたら、あの日から約束を破ったことになりますわね・・・」 「うっ・・・まぁ・・・そうだね・・・」 メアリィ達が楽しく話し合っているところを、ロビンは一部始終見ていた。 (う〜ん・・・これは二人の過去に立ち入っちゃうしなぁ・・・二人だけにしておくか・・・っ!何かいる・・・?) ロビンは、何かの気配を察し、こっそりと彼らに気づかれないように、気配のあったところへ向かう。 (こいつは・・・かなりの強さだな・・・武器を持ってきて正解だったな・・・) ロビンは、相手にも気取られないように早足で急ぐ。 (そろそろだな・・・いた!) ロビンが見たものとは、茶髪で腰ほどの長さある髪の女性であった。 (・・・かなりの強さだな・・・エナジー量が半端じゃないな・・・一人だけでは倒せなさそうだが・・・どうする・・・やるか・・・?) ロビンは腰にある剣に手を触れる。 「そこにいるやつ、いるのはわかっている。出てきな。」 「・・・・・・よくわかったね。」 ロビンは、相手の言われるままに草むらから現れる。 その女性は、瞳が鮮血のように赤く、ロビンより頭ひとつ分くらい小さい女性であった。しかし、その女性から発せられるエナジー量は、ロビンと同等の力がある。 「一瞬殺気を感じたんだ。でもあんたかなりやるね・・・本当に一瞬だったからなかなか気づかなかったわ。」 「そっくり君に返すよ。かなり強大な力を感じたよ。君なんだろ?」 「あぁ、そうだ。」 「君・・・地のエナジストだね?僕と同じ力を感じる。」 「あんた『八英雄』の・・・ロビンだな?金髪にマフラーをしているところを見ると・・・」 「そうだよ。君の名は?」 「教えるわけにはいかないな・・・少し私と腕試ししてみるか?」 「そうだな・・・腕試しなら・・・」 そういって、ロビンは剣を構える。長剣では最強を誇るソルブレードだ。 「ふん・・・お前があの『太陽の剣』の持ち主か・・・楽しみだ・・・」 女性も剣を構える。その剣は刀身が黒い。ダークマターから作られる「ダークサイドソード」の特徴だ。しかし、ダークサイドソードにしては妙なところがあることに気づく。 「・・・それは・・・ダークサイドソードだね?でも、片刃なのはなぜ?」 「これは・・・今はまだお前に教えるわけにはいかないな。」 「・・・・・・やっぱりやめておくよ。」 「・・・なぜだ」 「う〜ん・・・ちょっとやる気がそがれたっていうか・・・君とはまた戦いそうだしね。君・・・『ハデス』のメンバーでしょ?」 「そうだ。」 「だとすれば今君と腕試しと称して戦わなければいけないから。」 「私は殺すつもりはないといってもか?」 「そうだね。」 屈託のない微笑みで女性を見つめるロビン。 「ふん・・・まぁいい。あんたとはそのうち戦えそうだ。それまで楽しみに取っておこうとしよう。しかし・・・あんたと戦うことになったらそのときは・・・」 「そのときは?」 「本気であんたを殺す。」 そういって女性は、闇へと姿をくらました。 「彼女と・・・戦わなくて良かったかも・・・」 ロビンはそうつぶやいた。 最後にあの女性がいった言葉の後に女性から発せられたエナジーが、とてつもなく強大なエナジーの量だったのだ。 (ちょっと・・・彼女・・・甘く見てたかも・・・僕も強くならなきゃ・・・メアリィを守れるのは僕だけだから・・・) ロビンは、そう思いつつ、イミル村へと向かった。 (あっ・・・ガルシア達どうしてるかな?) 「う〜・・・ロビン達はまだか・・・さ・・・寒い・・・」 「そ・・・そうですね・・・」 ガルシアとピカードは、イミル村入口付近でロビン達をずっと待っていた・・・長い間降り積もっている雪の中をずっと。 (ガルシアといると・・・不幸になりそうです・・・寒い・・・) |
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yuki
< 237.net220148110.t-com.ne.jp > 2005/12/05(月) 22:03 公開 ■この作品の著作権はyukiさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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