緊張の本番
さて,結果はいかに…

Dec. 22 1998


この半年間の練習を締めくくる演奏会.これまでの努力が問われる. 今までのらりくらりと練習してきた人にとっては, ここで一気に緊張感におそわれ, なかには自滅してしまう人もいるだろう. 一方,半年間一生懸命練習し, 演奏が体に染み込んでいる人にとっては, この緊張も一種の快感となる. 緊張感はそれまでの自分の努力に応じて様々な格好で現れるのである. それがいい意味で聴衆に伝われば, 人を感動へと導くエネルギーとなる. わるい意味で伝わったら, 人を悲しみや不安へと導くことになるかもしれない. 演奏会直前に訪れる緊張がどういうものになるかは, 半年間の積み重ねによって決まるものであるから, いまさらどうしようもない. あとは自分にふりかかる緊張感をしっかりと受け止め, それに負けずに今までやってきたことをこなしていくしかない. アマチュアにおいては, 本番に至る過程こそが重要なのである.
吉と出るか,凶と出るか. 日頃の練習を見てきたものは答えを知っている. 奇跡は起こらない. 奇跡は,それが起こる確率が低く, だれもが起こると思っていないからこそ奇跡なのである.


とうとう本番ですね. 演奏会当日は私も朝から緊張していました. 4回連続でトレーナーをやらせていただいたのですが, 緊張したのは今回が初めてです. 理由はいくつかあって, 曲がブルックナーであること, 今回が最後の管トレであること, そして,この二つの理由 (本当はもう一つあるがここでは省略 ^^) から今回の演奏会をどうしても成功させたかったことが挙げられます. 絶対に成功させたかったにも関わらず, やりのことしたことが多いと感じていたことも, 一層緊張を高めることになった原因でしょう.
リハーサルはかなりいい線をいっていたと思います. もしこのままの演奏を本番でできたらいい演奏会になるだろうなぁって 思っていました. しかし,現実は非情です. しっかりつめなかったところでは, アンサンブルは崩れ,悲惨な状況になっていました. ちょっとした連絡の取り合い, 合わせどころの確認等をしていればなんとかなる部分が多かっただけに, ちょっと残念でした. ここは日頃の練習でやっておくべき問題でしょう.
もちろん,良かったところもたくさんあります. 特に,最後の2週間くらいの皆さんの努力には目を見張るものがあり, 今まで混沌としていた部分の多くがその努力によって整理されました. もし最後の2週間がなかったら…と思うとゾッとします. しかし, その努力の大半は 日頃からトップ陣が連絡を取り合っていれば解決できていた問題に対してであり, もう少し早く気がついてくれればもっといろんなことができたのに, という思いもあります.

これらの点については, 奏者の責任というのもありますが, トレーナーの責任というのも大きいと思いました. 私の練習は基本的にしつこくて, 細かいことをいろいろと注文していました. 同じところを結構何度もやったのですが, それでもなかなか変わらない. そのときにもっと別の角度から攻めるとか, ちょっとくらいは怒ってみても良かったかもしれないとも思っています.
もともと今回の演奏会に対しては, 管楽器には3段階の練習過程を想定していました. 第1段階は「音を並べる」. まずは楽譜通り音を並べましょうという, 基本です. デッサンを描くようなものですね. 金管楽器に音を出せといい続けたのはこの段階の話です. アンサンブルを整えるのもこの段階です. 第2段階は「表情をつける」. ここでは,とりあえず楽譜通りに音を並べた後に, 「色」をつけていく段階です. それぞれの場面に要求されるいろいろな表情を, 細かく検討していきたいと思っていました. 来団前の解釈の統一, 来団後の先生の解釈とのすり合わせなども含まれます. 第3段階は「曲をつくる」 ここでは,全体の構成をとらえた上で, 第2段階でつけた色のバランスを整えていく段階です. 第2段階ではミクロでとらえた色づけ, 第3段階ではマクロでとらえた色の調整と思ってもらえればいいです. 正確には,各段階は独立ではなく, 第1段階から第3段階の内容に言及したりすることもあり得るだろうと考えていました.
私が自分で想定した練習過程のうち, どれだけ実行できたかというと, だいたい半分くらいだと思います. 本当はもっとできたらいいなぁって思っていたのですが, 最後まで第1段階から先へ進めない人がいたのを無視することができませんでした. この点は,反省して今後の対応の仕方を考えるべきだと思っています (管トレはもう最後のはず?? ^^;).


以前,シベ7 の演奏会で「最後」宣言をしたはずなのに, 戻ってきて2年間ずっと管トレをやってしまいましたが, 今度こそ最後の管トレです. 私の後継は藤井君に託しますので, みなさん彼を困らせないよう, 日頃から努力するようにしてください.
最後に,特に管楽器の方,最後の2週間くらいで私が言い続けてきた 「コミュニケーションをとりつつアンサンブルする」 という点については是非これからも実行してください. 練習の早い段階からこれがちゃんと実行できれば, もっと気持ち良く本番が迎えられるはずです. みんな,仲良しでしょ?

p.s.
吉田君,お疲れさまでした. オルガン以来ずっと私のトレーニングでやってきて, 後半は同じことしか言わない私に飽きが入ってたかなって思いますが, それでも辛抱強くついてきてくれてありがとう. 他にもずっと一緒にやってきた皆さん, 一人一人名前を挙げると長くなりますので省略させていただきますが, 長い間おつきあいいただき,どうもありがとうございました.

<完>

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